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VRML文化論

Ryoichiro Debuchi

目次

インターネット=文化のレトロウイルス説
分離する文化/融合する文化
交換神経系から副交換神経系文化へ

インターネット=文化のレトロウイルス説

Biota.orgのBruce Damer氏は、カンブリア時代の生命の大爆発(多様な進化 )とVRMLまで出現したインターネット時代を重ね合せたいようだ。

私も同様であるが、また少し別の意見を持っている。それが、インターネット=文化 のレトロウイルス説である。

 レトロウイルスが生命の進化に大きく寄与したのではというアイデアは、山梨医科大学の中原英臣らによって、 1971年に提唱された説である。それまでのDNAが宇宙線など による突然変異で進化するという説は、かなり無理があった。
 レトロウイルスはちょうどカンブリア時代に出現した。このころ突然多様な生命を 生み出すという、壮大な地球規模のDNAのバリエーションを作る実験に、レトロウイ ルスが大きく関係していたのでは?というのである。

レトロウイルスとはAIDSウイルスなどを含む、逆転写酵素を持つウイルスである。自 分ではDNAを作ることができず、自分のDNAを寄生体の細胞核内のDNAにくっつけて自 己を増殖させる。こうやって増えるというとんでもないやつだ。このとき、その寄生 体のDNAを少しもぎ取って行くこともあるらしい。その変化したレトロウイルスが別 の生命体に感染すると、初めの生命から次の生命にDNAの一部を移してしまうことに なる。
実際、現存の生物を調べてみると、明らかに他の生物のDNAの一部が紛れこん でいることがあるらしい。ある種のヒヒのDNAにもハエだかネコだかのDNAが混じっているらし い。

すでに完成して意味を持つDNAの一部を移し換えて再構成すること、これは短期間 に大きな変化を生み出す可能性があるはずだ。さらに最新説では、「 進化は病気でう つった」というものがある。

 レトロウイルスによるDNA受け渡しは、いわゆるベクターという「遺伝子運び屋」 を使う遺伝子治療と同様のものである。
特定の遺伝子を持たせたレトロウイルスを体内で感染させて、足りない遺伝子などを 付け加えていく.....レトロウイルスへの感染は、大抵はその母体にとって悪である 。つまり、AIDSの様に病気となり死に至る。しかし、これは進化の実験の失敗パター ンかもしれないのだ。何千分の一かで成功パターンのレトロウイルスが出現する 。

 たとえば、大昔、木々を飛び回っていたきしゃな体を持つ木登りトカゲに変な病気 がはやったとする。それは鱗が変化して「羽が生えてくる」という遺伝子を持ったレ トロウイルスによる病気である。これにかかったトカゲに突然羽が生えてくるという よりは、その精子/卵子がやられて、生まれてくる子供に皆、羽が生えていたのかも しれない。
 こうして、あるとき「羽生え病」にかかったトカゲが大量出現する。子孫を残すに は、一匹だけ突然変異しても駄目なのである。このトカゲは幸い死ぬことはなく、む しろ、敵に追いかけられた時にうまく木から木へと飛び移って逃げることができたの で、数百年のうちにその先祖の木登りトカゲを追い払って、ある時代のある環境にお ける生態系のニッチを占めてしまう。

 つまりこれが鳥の先祖、始祖鳥の出現過程ではないのかと言ったものである。種を たくさん残せる植物ならいざ知らず、DNA一個分進化した一匹の動物がどうやって子 孫を残して繁栄したのだろう.....私たちは科学の名の元にこういった進化を信じて きたが、良く考えると変な話である。また、進化は不連続に起こっているようだ。ち ょっとだけ羽が生えかかった始祖鳥の化石が見つからないのも、これでうまく説明で きる。レトロウイルス進化説は、かなり具体的にイメージすることができるのである 。