初期のVRML作品、Floopsで有名なプロトゾアのEmre Yilmazは、もともとパペットアーティストであった。
Floops他、プロトゾアのアニメーション作品の多くは、プロトゾア開発のモーションキャプチャーシステム
ALIVEを使って、彼によって演じられている。
VRMLaboR: あなたのことを少し読者に紹介していただけますか?
Emre:ぼくはサンフランシスコの会社プロトゾアのアニメーター/人形使い/技術デ
ィレクター/人形作り師/ディレクターなんだ。(いろんな肩書きがあるんだよ。)
ぼくにはサイエンスとアートのバックグラウンドがある。
コンピューターアニメーションに興味を持つ以前は、実際の人形劇やパペットパフォ
ーマンスをたくさんやっていた。
VRMLaboR:へえ、それはすごい。どんな種類の人形劇をされていたのですか?
Emre:いっぱい変なことをやったよ。ここを見てくれ。
自分のかかわった一番好きな人形劇は、ヒステリックに叫び回る恋愛詩のやつだ。他の
好きなやつは、ゴミ袋でできたマッチョな気取り屋の、飛んで行ってしまいそうなキ
ャラクターで、浮かび上がらせるためにはヘアドライヤーで空気を送り続けていない
といけなかったやつだ。すごく心理学的なものだった。
ぼくの弟と一緒に作った、いんちき子供向けフィルムでは、かわいいパペットがア
メリカの大都市で起こっているいろんな恐ろしい暗部のできごとをやるんだ---麻薬
漬け、児童誘拐、銃を持っている5歳の子供とかね。
VRMLaboR:プロトゾアでのことを続けてください。
Emre:ぼくたちはしばらくTVや他のアプリケーションのための、いわゆる「リアルタ
イムアニメーション」をやっていた。
それからまた、他の会社のためにキャラクターを作ったりしていた。
ぼくたちは"ALIVE"というカスタムソフトウエアを使っている。ALIVEはSGIの"
Inventor"(注:VRMLのベースとなった3Dデータ形式)フォーマットの上に作られて
いて、それはつまり非常にVRMLに近いということだ。
(VRMLはぼくにとってInventorの方言みたいなものだよ。)VRMLが出てきたときに、
ぼくたちの仕事をそれに移し変えることはすごく簡単だって気付いたんだ。
ぼくたちの作品をインターネットに載せることには興味があったし、実際QuickTime
でそうしていた。だけどVRMLはQuickTimeよりもっと空間的効果を持っている。だれ
かがすでにブラウザを書いてくれているし、ぼくたちのすることといったらInventor
からVRMLに移し変えることだけだった。
VRMLaboR:もう少し詳しくALIVEについて話していただけますか? それはプロトゾアのイン
ハウスソフトなのでしょうか?
Emre:うんそうだよ。でも、それを売ることもやっている。ぼくたちは半分ソフトウ
エア開発、半分制作会社なんだ。
ソフトウエア部門はALIVEを開発しライセンスを売っている。
VRMLaboR:だれが開発したんですか?それは「チャンネルドライバー」のようなものなので
すか?
Emre:Eric Gregoryがチーフプログラマーだ。チャンネルドライバーはそれを考える
上で良い例だね。だけどそれ以上のことができるよ。それはKaydoraの"Filmbox"と同
じ様な製品だ。
VRMLaboR:それは独自のGUI(グラフィックユーザーインターフェース)を持っているんです
か?それともSOFTIMAGE 3Dのような、他のソフトを使っているのですか?
Emre:それは独自のGUIを持っている。ちょっと限られているけど。これはライブパフォ
ーマンスシステムであり、フル3DCGアニメーションパッケージではないからね。
VRMLaboR:ホームページの説明にあった、「マルチパスオペレーション」とは何ですか?
Emre:まず、基本となる身体のパフォーマンスを行う。それからその上に別のパフォー
マンスを重ねて行くんだ。指、目の動き、手の動きなど。もともとの動きをちょっと
変更したり変化させたりする。ちょうど音楽スタジオでのマルチトラックレコーディ
ングのようなものだ。
VRMLaboR:どうやって、Floopsを毎週作っていたのですか?それはどんなサイクルでやって
いたんですか。(注:Floopsはsgi.vrml.comに毎週「連載」されていた。)
Emre:ぼくたちはそれを10個くらいひとまとめでやっていたよ。普通まず10個の
エピソードを書いて、一週間でその台本を直したり進歩させたりした。それから小道
具をモデリングした。最後にぼくがFloopsを演じて、そのデータをきれいに直して、
最後にVRMLにコンバートしたんだ。
ぼくたちは一週に三つくらいのエピソードを作った。大変だった!Driftwoodのとき
はもう少し長くて、平均ひとつのエピソードに一週間だった。DilbertはFloopsよりも
もっと早く作れたけど、しかしそいつも長いやつだったけどね。
VRMLaboR:だれがFloopsやRedとFrigateのキャラクターを発明したんですか?
Emre:両方とも小さなチームで考えたよ。FloopsのパーソナリティはSteve Rein,Jan
Mallis, Eric Goldbergそしてぼくが作った。モデリングとデザインはBay Raittだ。
RedとFrigateのパーソナリティはDan Hannaが考えた。モデリングとデザインはTracy
Robertsだよ。
VRMLaboR:プロトゾアの作品はむしろ、普通のストーリー映画のような、一方的にリアルな
3Dアニメーションを見せるもののようですが。もっとインタラクティブなものや、
人工生命的なものは作られないのですか?
Emre:今現在のぼくたちのVRMLのプランはもっと、リニアなエンターテインメントだ
。ぼくたちは人工生命はそんなに追っかけてはいない。だけどしばらく考えてみたこ
とはある。マウスを使って見つめたら、歩き出すキャラクターを作ったし、彼の歩幅
や元気さをスライダーを使って調整することもできた。それから、泳ぎ回る魚のキャ
ラクターも作った。そいつはマウスで押さえたエサを食べようとするんだ。
VRMLaboR:これからVRMLでどんなものを作りたいとお考えですか?
Emre:自分たちのキャラクターがすぐそこにいるようにウエッブを見たいんだ。観客
に接する今までと別の方法があると考えると興奮するよ。たとえばテレビを使う必要はないん
だ。それから、独自のキャラクターをもっと確立して、それらのための3Dウエッブ
を作りたいね。たとえばDilbertでやったように。
VRMLaboR:VRMLがもっとこうなれば、ということはありますか?
Emre:時間の制御がもっと正確にできればと望んでいるよ。VRMLはぼくたちがやりた
いことのためには、設計されてないんだ。
---つまり、リニアアニメーションだけど。VRMLはスクリプトを使いトップダ
ウンで制御するパラダイムでもない。
だから、音と動きの同期はいつも不正確なんだ。
VRMLaboR:VRMLがメディアやアートに与える影響をどうお考えですか?
Emre:うーん。それに対して良い答えがあるかよくわからないが...だけど、望んだと
きに動くコンテンツを見つけることができるということは、とてもかっこいいことだ
と思うよ。ネットのぼくの好きな点は、だれもが自分のペースですべてを選ぶことが
できることだ。だけど、VRMLの他の使い方はもっと無限だ。特にTVを通しての3Dウ
エッブコンテンツにもっとユニークな利点があるだろうと、考え始めているところな
んだ。
VRMLaboR:あなたの風船人形は日本の文楽にインスピレーションを受けたとホームページに
ありました。それで思い出したんですが、私は沖縄の獅子舞いも好きです。長いカラ
フルな毛が全身に生えた着ぐるみを着るやつで、とてもユーモラスです。
あなたも好きかもしれませんね。
Emre:何かぼくの好きなやつみたいだね。いつか日本に行って、それを見てみたいと
思うよ。
VRMLaboR:ありがとうございました。
(インタビュー:1997年秋 / 対訳:出淵)