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Artificial Lifeforms at World Wide Web

by Ryoichiro Debuchi
English here

AL@WWW

Worm このサイトではインターネット上での人工生命(AL)を考える。
特にVRMLなどの3Dインタラクティブデータを使ったモデルを中心にしたい。

なぜ、インターネットの上で3DのALを研究制作することが重要なのだろうか?
今までのコンピューターを使用したAL研究作品の具体化方法には3つあった。

 1) PC上などで動くインタラクティブ/リアルタイム作品ではあるのだが、2Dグラフィックを元にしており、生命はドットやポリゴンで表わされ、位置やステータスの情報だけが得られるもの。

 2) ハイエンドの高速コンピューターの中でシミュレーションが行われ、その結果をリアルな3Dコンピューターグラフックスで計算し、動画をVTRで見せるもの。それは非常にインパクトはあるのだが、すでに終わったものを見せるだけである。

 私の1988-89の研究作品に「マクロファージとバクテリアの戦い」(NHK、「人体」のためのもの)、それを発展させた「VioMechaWars」(SIGGRAPH '89にて上映)がある。これは2種類のALを戦わせるシミュレーションをアニメーションにしたものである。しかし、自分のコンピューターの中だけでプログラムされた世界は、自分自身でさえ、いつか忘れ去ってしまった。

 3) 3Dインタラクティブであるのだが、特殊なハイエンドコンピューターを使用しているため、その装置が備えられたある場所に行かない限り、一般には見ることができないもの。

 しかし現在、インターネット環境、VRMLとそのブラウザ、Java、JavaScriptなど、3D データ、プログラミング言語、3Dブラウザ、GUIなどの共通ツールが出揃いつつある。これは自分の制作したALを世界中のプラットフォームですみやかに再現して見ることができるということであり、また、共同研究開発の可能性も大きく開かれたはずである。

 なぜALは3D化されることが重要なのだろうか?
 ひとつは、3Dモデルはインパクトと説得力があるということだ。これは、一般の人達にもALを広くアピールできる原動力となる。
 もうひとつは、3Dによる形状や運動は、2Dドットの世界では省略されていた、さらなる深い細部の表現、研究につながっていくということである。

ALと進化

Ballalaika インターネットはALを進化させることができるのだろうか?
 現在の、いくつかのAL作品では遺伝子に当たるものを持ち、交配して次々に新しい形状を生み出すものがある。しかし、しばらくこれらの作品を見ていて気付くことは、それは「進化」ではなく、「変化」であるということだ。結局、アーティストの用意した変化のバリエーションの組み合わせが変わっていくだけだからである。現実世界でも生殖は変化をもたらすだけで、進化はおこさないという説がある。

 進化という飛躍をALに与えるにはどうしたらいいのだろうか?
それを考えるのにふさわしい、現実の生命進化説がふたつある。それは共生進化説と進化へのレトロ・ウイルス媒介説である。

1) 共生進化説
 1960代末にアメリカの女性生物学者リン・マーギュリスに唱えられた。太古に原核生物から真核生物に進化したとき、いくつかの原核生物が複合して、それぞれの小器官となったというもの。
元となる古細菌に、呼吸細菌が取り込まれてミトコンドリアとなり、光合成細菌は葉緑体に、らせん状のスピロヘータは鞭毛や繊毛の波動毛に変化したという。

2) 進化へのレトロ・ウイルス媒介説
 山梨医科大学の中原英臣らによって、1971年に提唱された説。
 エイズ・ウイルスなどレトロ・ウイルスはRNAでできているウイルスであるが、自分の遺伝子を寄生体の遺伝子にくっつけて自分を増やす。このとき、ある生物の遺伝子の一部をもぎ取って、別の生物の遺伝子にくっつけたりすることもあるという。これが、進化に大きく貢献しているのではないかという説。
 レトロ・ウイルスに感染することは病気なのであるが、あるとき、有効に形状が変化するような「病気」をおこすことがあったかもしれない。遺伝子治療と同様である。
 進化のためには、一度に同じ形態をもった生物がある程度たくさん出現しなければならないはずである。突然変異でいっぴきだけ羽の生えたトカゲが生まれても次の世代はできない。あるとき、レトロ・ウイルスによる「羽生え病」にかかったトカゲが次々と生まれたのではないのだろうか?

 ふたつの例で共通することは、別々にできあがったものが、あるメカニズムを媒介にして複合されるということ、もうひとつは進化とは「死」と隣り合せの危険なものであるということだ。

 インターネットがこの、まぜっかえすメカニズム、レトロ・ウイルスとなるのではなかろうか?

提案:マルチユーザーワールドでのAL

Water 私はインターネットを使ったALの研究に次のようなシステムを提案したい。
それは、だれもが自分の作った3D-ALを放つことのできる、3Dマルチユーザーワールドである。 テキストでレスポンスされる、ALシミュレーションワールドである「TechnoSphere」を思い出すかもしれない。そこは、あらかじめなんらかの規則と目的がプログラムされているバーチャルワールドであるはずだ。
たとえば、最近有名になってきた、人工知能ロボットにサッカーをさせる国際研究会、ROBO CUPのインターネット版でもよい。または、カールシムズの「Evolving Virtual Creatures」のように、エサを取り合うことを目的としたALを戦わせる世界でもいいかもしれない。

 この世界にひとつ重要な規則を作りたい。それは、進化は危険と隣り合せということと関係がある。
この世界に参加したあなたのALは著作権を放棄しなければならない。すなわち、だれもが、そのプログラムをかってに改造したり、一部を自分のALにくっつけたりして、新しいALを作っていいのである。 「著作権の放棄」はアナーキーであり、自身の病気や死に対応するかもしれない。しかし、それが真にダイナミックなALの進化を生み出す可能性があるのではなかろうか?

そうして、もしも有用なDNAに対応するプログラムができあがればしめたもの。それを、ブラックボックスとして次々にALの進化を進めて行けばいいはずなのである。

30 October, 1998

All images in this page copyright, 1998 Ryoichiro Debuchi


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